多様な働き方が求められ、地方移住への関心が高まっている昨今。
コロナ禍のニューノーマルとして、新たな岩手との関わり方を提供するサービスとして、岩手に特化した副業マッチングプラットフォーム「RE:SiDE(リザイド)」をリリースしました。
“一歩を踏み出せる副業”を切り口に、主に都市圏在住の副業人材と岩手県内の事業者やプロジェクトの橋渡しとなるサービスです。
RE:SiDE(リザイド)の経緯
サービスを立ち上げたNPO法人wizの黒沢 惟人さんにサービスを始めるまでの経緯についてお話を伺いました。(聞き手:宮本 拓海)
wizは、地域おこし協力隊の採用・活動サポートや学生の実践型インターンシップのコーディネート、岩手特化型クラウドファンディングサイト「いしわり」の運用などを行っている団体。
黒沢さんは県内の大学を卒業後、システムエンジニアとして東京のIT企業に勤めた後、2012年にUターン。2014年、同年代のUターン者4名と共にwizを設立した。
「実は、新卒の就職活動時から『いつか岩手に戻ろう』と考えていました。その想いが『もう戻ろう』に変わったのは東日本大震災がきっかけ。自分が長く育った岩手県が被害を受けている状況から地元のことを強く意識して、Uターンすることを決意しました」
「僕は、震災が起きた時とコロナ禍の今の状況が重なっているように感じていて。当時の自分がそうだったように、県外に出た人たちが地元を強く意識する機会になっていると思うんです。でも、今はすぐに帰ってくることは難しい。なので、物理的な方法以外で岩手に関わることができる仕組みを作りたいと考えるようになりました」
オンライン撮影
そこで、黒沢さんが考えたのが「副業」を通した岩手との関わり方。
これまでwizは、引っ越しと転職を伴う「移住」をコーディネートしてきた。しかし、それでは生活を一変させる大きな決断をする必要があり、リスクが大きいため多くの人が実行するのは難しい。
そのため、まずはオンラインを活用したリモートによる副業で、都市圏に暮らしながら岩手の仕事に携わる関わり方を提供しようと考えた。
RE:SiDE(リザイド)の特徴
RE:SiDEは、会員登録したユーザーのみが閲覧できるコミュニティ限定の求人情報を掲載するほか、毎月数回「岩手での副業の関わり方」を紹介するオンラインイベントを開催する。
中でも特徴的な取り組みが「RE:SiDEミートアップ」
2時間程度のアイデア会議を設定し、事業者とその求人に興味のある会員が参加することで、正式なマッチングに向けたステップとして「おためし副業」を実施する。
「情報だけをもとに、『選ぶ』・『選ばれる』という関係性ではなく、会員と事業者がしっかりコミュニケーションをとった上でマッチングしたいと思っています。そのために一歩を踏み出しやすい副業を体験するのが、ミートアップの役割です」
RE:SiDEミートアップ紹介記事:https://re-side.jp/wp/feature/01/
過去に開催したミートアップの様子
様々な取り組みを通して、RE:SiDEが提供しようとしているのは「副業から始まる新しいライフスタイル」。
どんなライフスタイルを想像しているのでしょうか。
「コロナ禍の今、これまで続けてきた仕事のほかに、新しい働き方の実践や自分の時間の使い方として副業を取り入れてもらえるといいなと思っています。副業をきっかけに、生き方や働き方を考えたり、自分自身を成長させる機会になるといいですね」
岩手で副業することが、これからの生活・暮らしのスタンダードになる。
そうした一人ひとりのライフスタイルの変化が受け入れ事業者、岩手全体に影響を与えていく。
「岩手で生まれ育ちながら、周りの人に『ここでは仕事がない』とよく言われていました。でも僕はそうじゃないと思っていて。その切なさ、悔しさが今まで活動してきた想いの根本にある。これまでの事業を通して、自分ではいい実感を積み重ねられているので、もっと多くの人を巻き込みながら、岩手に対する価値観を変えていきたいです」
RE:SIDE(リザイド)メンバー紹介
黒沢さんの想いや考えに共感して、一緒にサービスの立ち上げを担っているのがプロジェクトマネジメントと業務設計を担当する高橋 和氣さんとクリエイティブディレクターの髙橋 裕也さん。
民間・行政の新規事業の立ち上げサポートを生業としている和氣さんは、これまで岩手へのUIターンサポートなどを行う「岩手移住計画」や岩手県盛岡市の関係人口創出プロジェクト「盛岡という星で」など様々なプロジェクトに参画。黒沢さんと近しい分野の活動に取り組みながら、共通の課題感を抱いているそう。
「デザイナーやライターなどの専門職に比べて、マネジメントやバックオフィスを担える人が岩手に不足していることに課題を感じています。そうした人材が岩手に関わることで、事業やプロジェクトがより持続可能なものになっていくと思う。黒沢さんから話を聞いて、このサービスがその仕組みになり得ると感じて、参画することを決めました」
オンライン撮影
裕也さんは岩手県紫波町出身で、現在は東京都在住。自らが代表を務める、デザインプロダクション「株式会社YUNEL」では都内の様々な案件に関わりながら、デザインで県内生産者のサポートなども行う。RE:SiDEにはフルリモートで参画している。
「黒沢さんから話を受けて、自分なら都市部の目線と岩手の目線を両立して持ちながらプロジェクトに関わることができると思いました。また、これまでブランディングとともにコミュニケーション環境を整える経験もあるので違和感なくプロジェクトに関わることができています」
オンライン撮影
最後に3人それぞれからメッセージをいただきました。
「副業から個人で仕事ができるきっかけをつくることができるかもしれない。自分の価値や役割がダイレクトに返ってくる経験をたくさんの人にしてほしいです」(黒沢さん)
「RE:SiDEには人生観や価値観が変化することにつながる、人との出会いが多くあると思っています。新たな一歩を踏み出そうとする人の背中を押すことができるサービスなので、興味のある方はどんどんうまく使ってもらえると嬉しいです」(裕也さん)
「これまで企業に数年以上勤めていて、『新しい自分を発見したい』という人の一歩を後押ししたいと思っています。最初からブルドーザーのようにどんどん進んでいく必要はありません。多様な人とのつながりの中で、少しずつ新しいライフスタイルを獲得していけるような場づくりをしていくので、安心して飛び込んできてほしいです。個人的には特に、総合職や事務職でコツコツと業務をやり続けてきた”基礎力がある人”の次のステージを用意したいと思っています」(和氣さん)
新しい道を切り開くきっかけをつくり、これからの暮らしを豊かにしていく。
副業から始まる新しいライフスタイルを、あなたも実践してみませんか。