求人募集終了
醸造文化をリノベーションする。
「はじまりの学校(酒の学校)」
2023年6月22日
株式会社 酒と学校(岩手県紫波町)
- 株式会社 酒と学校(岩手県紫波町)
〒028-3448
岩手県紫波郡紫波町吉水字小深田57
https://lit.link/HajimariSake
冷涼な気候や良質な湧き水など土地柄を活かした酒造りが盛んな、岩手県紫波町。
人口約33,000人と決して大きいまちではないものの、町内には4つの酒蔵とワイナリー、サイダリーを1つずつ有しています。
そうした町の特性から酒を通じた地域活性化を目指して行われているのが、酒と学校と紫波町役場が主導する「はじまりの学校(酒の学校)」。
プロジェクトをより持続可能な取り組みにしていくために、今回は酒と学校と紫波町役場と共にプロジェクトに関わる副業人材を募集します。
お話をお聞きしたのは、紫波町役場商工観光課の須川翔太さんです。
須川さんは紫波町出身。県内の大学を卒業後、2007年に紫波町役場に入庁。農林課や税務課での勤務を経験した後、2015年から企画課に所属し、移住・定住促進や地域おこし協力隊、タウンプロモーションなど様々な分野を担当している。2022年から現職。
須川さんが酒に関わるプロジェクトを行うようになったのは、企画課に所属してからのこと。配属されたばかりの頃、上司に「ここでは自由に考えてみてほしい」と声をかけられたのがきっかけだった。
「『自由に考えてみて』と言われた時に、個人的な興味と町が持つ課題意識から、思いついたのが『酒』に関わることでした」
「酒の中でも、特に日本酒が衰退産業になってしまっている現状をどう改善していくか。『南部杜氏発祥の地』として伝統や歴史を持つ中で、それを受け継いでいくにはどうしたらいいのか。これから考える必要のある課題が多くあることが、酒に関する仕事に携わることを決めた理由です」
日本全体で消費量が減少している日本酒。そのため経営が困難な状況になっている酒蔵が全国的に多く、紫波町にある酒蔵も少なからずその影響を受けている。
そうした現状への不安、課題感から須川さんはそれまでとは異なる方法で、酒産業の活性化に取り組み始める。
「ありきたりで表面的なPRや販促イベントなど、これまで通りのことを続けていては現状は変わらない。次世代に産業を繋いでいくために、若い世代の視点やアイデアを活かした取り組みができないかと考えました」
そこで実施したのが、若者と酒造業者との交流を通じて酒産業を若者にとって身近な存在にし、紫波町に関わる関係人口と将来的な担い手の増加を目的とした、SAKE TOWN SHIWA プロジェクト。
主な取り組みは、実践型インターンシップと体験型ツーリズム、プロモーション・情報発信の3つ。
実践型インターンシップでは、全国から訪れた大学生が1ヶ月以上、町内の酒蔵・ワイナリーで新規プロジェクトの開発や課題解決に従事。実践型インターンシップをきっかけに、様々なイベントや企画が実施された。
体験型ツーリズムとして行われた「SHIWA SAKE CAMP」では、大学生が紫波町や酒の魅力に触れる2泊3日のプログラムに参加。その中で、若者が紫波町を訪れたくなるような体験型プログラムの企画・開発が行われた。
プロモーション・情報発信では、フリーマガジン「ツギヒト」をこれまで全2号発行。町内にある4つの酒蔵とワイナリーに関わる情報や紫波町の酒造りの歴史などが県内外に発信されている。
「2016年から2018年まで、3年間プロジェクトを続けたことで、町内の酒造業者がお酒を造ることだけでなく、その後の販売やプロモーションの部分にも意識を向け始めたように感じました。各酒造業者の方々が、視野を広げたことで、飲食店など別業種の人達との繋がりを増やして、新たな商品を開発するような動きもありましたね」
町内にある酒蔵のひとつ「有限会社 月の輪酒造店」と紫波町の日詰商店街にある「藤屋食堂」がコラボレーションし、酒粕を活用したフルーツサンドなどが販売されるなど、SAKE TOWN SHIWA プロジェクトをきっかけに、特産品の開発や関係人口の増加など、町全体にいい影響が波及するように。若い世代が関わることで酒造業者の取り組みを活性化することができる実感を得ることができたという。
一方で、「より根深い課題に切り込んでいくことの難しさも実感しました」と須川さん。
どんな難しさを感じたのでしょうか?
「当初はSAKE TOWN SHIWAプロジェクトを通して、酒造業者が抱える経営的な問題も解決できればと思っていたのですが、大学生が短期間関わるだけではアプローチすることは難しかった。そもそも根本的な問題を解決するには、外部の人間が関わるだけでは足りないなと思いました」
「そのため行政としては個別の問題に焦点を当てるのではなく、もう少し広い視点を持って紫波町の酒産業全体を意識した活動を続けていくことを改めて決意しました」
そこで須川さんが意識したのは、「紫波町の酒産業がこれからどんなことを大切にしていくのか」ということ。
「従来日本酒は酒蔵を経営する蔵元と酒造りを行う杜氏が役割分担をして製造・販売されていましたが、最近はその杜氏制度を撤廃して、蔵元が直接酒造りを行う酒蔵が増えてきました。杜氏制度が否定されてなくなっていくことは、『南部杜氏発祥の地』として歴史を大切にしてきた紫波町の動き自体が否定されていくことになる。本質的に考えていかないといけないのは、そういった部分で。今売れていたらいいのではなく、これからの時代に何が求められているのか、また紫波町としてどんなことを大切にしていかないといけないのか。それらを考えて、紫波町の酒産業をより持続可能なものにしていきたいと思っています」
そこで生まれたのが、町の廃校を活用した「はじまりの学校(酒の学校)」事業です。今回、募集する副業人材の受入先です。具体的にどんな人が求められているのでしょうか。
「これまでより深く酒について関わることが大切だと思っているので、専門の知識やスキルを持つことが重要になると思っています。なので、これまで酒造りや販売に関わった経験のある方と一緒に話をしたり、活動ができると嬉しいです」
「また、決まった作業をこなすよりも、新たなモノ・コトを生み出していく仕事になると思うので、そういったことが得意な方にきていただけるといいですね」
「はじまりの学校(酒の学校)」に関わる副業人材が担う活動や役割はまだ明確には決まっていない。そのため受入先である酒と学校と話をすることでその人自身の個性や得意分野に合った関わり方をしていくことになる。
「知識やスキルの話もしましたが、プロジェクトに参画する興味を持ってもらうきっかけは単純に『お酒が好き』とか『飲み会の場が好き』ということでいいと思っています。お酒が好きな人には悪い人はいないだろうし(笑)」
須川さんはプロジェクトに携わるまで、日本酒を飲めなかったそう。酒に関わる仕事をするうちに、日本酒が好きになり、紫波町の酒産業に対する想いが強くなっていったという。
「いずれは日本酒だけでなく、紫波町の醸造文化全体をリノベーションしていきたいと思っています。町内にあるサイダリーができたのもつい最近のこと。いずれは『マイクロワイナリーやブルワリーもあったらいいね』と周りの方たちと話をしていて、その拠点にはじまりの学校がなれば良いと思っています。紫波の酒造りに関わる歴史を掘り下げるのと同時に、これからの時代に求められる酒産業のあり方を見つけて、実現していきたいです」
最後に須川さんからこの記事を読んでいる方々へメッセージを。
「『酒』に関わるおもしろいことを仕掛けていく紫波町ならではの取り組みに共感するお酒好きな方がいたら、ぜひ一緒にお話しましょう!これからの出会いを楽しみにしています」
この記事を読んで興味を持った方は、まずはお酒愛について語り合ってみる。そこからきっと新たな活動の種が生まれていくと思います。
求人情報
- 会社名
- 株式会社 酒と学校(岩手県紫波町)
- 仕事内容
- ・「はじまりの学校(酒の学校)」事業の整備・運営に向けたサポート(販売PR、商品開発 等)
・副業人材側から事業提案も大歓迎
- 条件
- ・契約期間:応相談
・報酬:応相談
・働き方:原則リモートワーク
・その他:定例MTGの実施